読書感想・孤狼の血

久しぶりに、(私にとって)新しい作家さんで「アタリ」と感じる本に出会った。
孤狼の血」 柚月裕子

昭和63年、暴力団対策法成立以前の広島。
呉原東署捜査二課に配属された新人刑事の日岡は、先輩刑事・大上と暴力団系列金融会社社員失踪の捜査を扱うことになった。当の大上は、県警内で凄腕のマル暴刑事だが、暴力団との癒着を噂されてもいた。その手法と振る舞いに戸惑う日岡

ヤクザ顔負けの口調と態度、違法捜査もなんのそのの刑事・・・なんて、およそMOCHAの好みではないのだが。
読めば読むほど、大上のことが気になってきて、その活躍を楽しみにしてしまう。
MOCHAの田舎は広島の尾道だし、出身大学は岡山なので、小説内で交わされる広島弁もすんなり頭に入ってくる。
また、この「広島弁」っていうのは、ヤクザ口調に合いすぎ(^^;
怖いような、どこか哀愁があるような、情の深そうな、そんな風合いがあるよね。
先の気になるストーリー運びや「えぇぇ!」と驚く展開の、エンターテインメント性の豊かさもすごいし。
肝の据わったアネさんや、男気のある筋の通った「任侠」など、キャラ設定もいいし。

ひさしぶりに小説の世界に浸らせてもらえる作品でした。